入社後のミスマッチを避けるための「求人の進め方」と「求人を見るポイント」

「求人の進め方」

①転職サイトで検索する

転職サイトとは、自分で求人を選んで応募することでできるサービスです。転職サイトには業種や職種を問わずに多くの求人が掲載されていて、その中から自分にマッチする企業を見つけ、応募をします。 求人数は膨大なので、自分で条件を決めて絞っていくことが大事です。 転職サイトを利用する最大のメリットは、その求人数の多さといえます。自分の転職の軸に照らし合わせて条件を絞っていくわけですが、絞った後でもかなりの数が選択肢として残るほど転職サイトには豊富に求人がそろっている場合も多いです。また、自分のペースで求人を探せるのも転職サイトの便利なところです。 デメリットとしては、求人数が多いゆえに、自分が理想とする求人を探し出すには時間と労力を必要とする場合があることです。また、転職サイトの利用は基本的には自分自身での作業となり、プロセスにおいて客観的なアドバイスをもらう機会が少ないという側面もあります。 

※転職サイトで求人を探すときのポイント

情報量の多さに惑わされないように、転職の軸をしっかりと持って求人情報と向き合うことが重要です。転職サイトの使い方としては、自身の転職の希望条件を入力して表示件数を絞っていく方法が一般的なので、自己分析をしっかりと行ってから上手に利用しましょう。 

②転職エージェントに紹介してもらう

転職エージェントは、登録することによって担当者が最適な企業を厳選して紹介してくれます。転職サイトに掲載されていない非公開求人の紹介を受けられる場合もあります。 転職エージェントに登録すると、求人の紹介だけではなく、職務経歴書の作成サポートや面接対策のアドバイス、さらにはキャリアプランの相談まで引き受けてくれる場合も多いです。 転職エージェントを利用するメリットとしては、転職エージェントが独自に保有している非公開の求人があるので、希少な求人に出会える可能性があることです。また、転職支援のプロの目線から、求人選びや職務経歴書、面接対策についてアドバイスをもらえることもあります。転職エージェントが「転職のプロ」として自身の転職活動に伴走してくれるので、自己分析においても貴重な意見をもらえることも多いでしょう。 一方でデメリットもあります。実際に転職エージェントと面談を行うので、双方のスケジュール調整なども含めて転職決定までに時間がかかる場合があります。また、自分と合うエージェントに出会えるかどうかも重要になってきます。 

※転職エージェントで求人を探すときのポイント

転職エージェントは転職のプロとして、希望に寄り添い転職活動に伴走してくれ、アドバイスをくれることも多いですが、全てを受け入れるのではなく、自分の意思をしっかりと持って関わることも大切です。 転職エージェントというビジネスモデルの性質上、最終的には転職を勧めることも少なくなく、特に転職するにはまだ早く、スキル・経験を磨いたほうがよい人などは、慎重な姿勢で向き合うことが大事です。 

③スカウトを受け取る

スカウトは、職務経歴書を通じて自身の経歴・スキルに合った求人の案内が企業・ヘッドハンター・人材紹介会社などから届くという仕組みです。企業やヘッドハンターは求職者の職務経歴書を閲覧し、募集している求人情報などの条件と合致する人に対してスカウトを送ります。 スカウトを利用するメリットとしては、ヘッドハンターなどのプロの視点により、自身のどのようなスキル・経験が評価されるかを知ることができることと、非公開求人や希少な求人など自分からは見つけることができない求人に出会えることです。自身の能力を客観視し、強みを生かせる転職先へと導いてくれるスカウトは、転職に新たな可能性をもたらすでしょう。 一方、スカウトのデメリットとして考えられることは、職務経歴書を充実させないと出会える求人が限定的になるということです。企業やヘッドハンターは職務経歴書に記載されている具体的な情報を頼りに人材を探すので、情報が少ないと必然的に紹介される転職先も少なくなります。 

※スカウトで求人を探すときのポイント

スカウトの利用では、自身の職務経歴書の内容がスカウトの量や質に関係してくるので、これまでのスキル・経験を整理して中身を充実させることが大切です。また、スカウトが来たからといって内定をもらえるとは限らないので、他の求人と同様に面接対策などを怠らないことも大事です。 企業や利用するサービスなど、状況によってはスカウトを受け取ると、書類選考がスキップとなる場合もありますが、その後のプロセスでは他の候補者と変わりなく選考が進むことも多いので、万全の態勢で臨みましょう。 

④興味のある企業のコーポレートサイトを見る

企業のコーポレートサイトに採用情報が掲載されている場合もあります。転職サイトや転職エージェントなどを介さずに、コーポレートサイトから直接応募をするというのも一つの方法です。日頃からアンテナを張って、興味のある企業のコーポレートサイトをチェックしていると、その企業の求人に出会えることもあります。 

※公式ページで求人を探すときのポイント

コーポレートサイトは誰でも見られるものではありますが、その企業の全ての求人が掲載されているとは限りません。企業はコーポレートサイトに載せる求人以外にも、転職エージェントを通じて募集をかけている場合などもあります。よって、コーポレートサイトは他の方法と併用することをおすすめします。 

⑤知人・友人に紹介してもらう

近年注目されている採用方法に、リファラル採用という手法があります。従業員の知人・友人、あるいは親族などを従業員として迎え入れるリファラル採用は、求人探しの選択肢の一つとなっています。 リファラル採用を利用して応募するメリットとしては、知人・友人が従業員であることから、直接的に企業の情報や率直な意見を聞くことができるという点も大きな魅力です。 一方デメリットとしては、あくまで人と人とのつながりのなかでの紹介になるので、出会える企業数が限られてしまうことです。また、知人・友人からの企業情報は、所属している部署に関してのもののみになってしまうことも多いので、部署が違う場合などは内情が違うこともあり注意が必要です。情報を過信しすぎるとミスマッチにつながりやすいので、知人・友人からの情報がすべてではないと認識することも大事です。 

※知人・友人の紹介で求人を探すときのポイント

リファラル採用で出会うことができる求人は、あくまで数ある求人の中の一部なので、他の方法と併用することをおすすめします。また、知人・友人に配慮して、迷いや妥協があるなかで転職を決めてしまうことも考えられるので、転職の本来の目的を見失わないようにすることも大事です。自分のための転職だということを忘れずに、転職の軸をきちんと持ってリファラル採用を利用しましょう。 

☆納得のいく求人が見つからないときに考えるべきこと☆

どのような方法で求人を探しても、納得のいく求人が見つからないと感じるときもあります。そのようなときは一度立ち止まって、自身の転職活動を振り返って再考する必要があるかもしれません。

 

・条件の優先度をつけられているか

転職に際して希望条件の優先順位をつけることは大切なことです。すべての条件を満たすような理想的な求人と出会うことが一番ですが、出会うまでに膨大な時間がかかるかもしれませんし、そもそもそのような理想の求人は存在しないかもしれません。転職活動にかけられる時間は有限なので、希望条件に優先度をつけて、これだけは譲れないという条件を満たした求人を見つけるという方法がおすすめです。

 

・アピールできる経験・スキルを把握できているか

転職エージェント・スカウトを利用するときに特に注意したいのが、自身の経験・スキルのなかで採用企業にアピールできる部分を見つけておくことです。企業は採用ポジションごとに理想の人材をイメージして求人を出します。 自身の経験・スキルが明確になっていないと、どのような求人で採用可能性があるか・どのようなポジションなら転職後に活躍できそうかが分からず、求人選びが難航してしまいます。 

・探し方が自分に合っているかどうか

これまでにいくつかの求人の探し方を紹介しましたが、もし自分に合った求人をなかなか見つけられないと感じるときは、あらためて自分の置かれている状況に忠実になり、今の自分に合った探し方という意味でもう一度選んでみてはいかがでしょうか。 

例えば既に転職の軸が確立されていて条件の優先順位なども定まっている場合は、求人数が多い転職サイトを利用することによって、効率よく求人を見つけることができるかもしれません。 逆に職種・業種などの変更も視野に入れて、キャリアチェンジなどで新たな可能性を見出したいときは、転職エージェント・スカウトなどの利用が向いているといえます。 

今の自分と向き合い、どのような未来を描いているのか今一度確認をしながら最適な方法を選択しましょう。 

「求人を見るときのポイント」

初めて転職される方の2人に1人が「希望する条件に合う求人を見つけられるか」を不安視されていると言われています。

求人は、企業が募集しているポジションの要件を明記したものです。

企業が直接採用する場合のほか、人材紹介会社や派遣会社に共有し、

条件に合った人材を探してもらう際などに活用します。

記載される項目として、

求人には、職業安定法という法律で必ず明示しなくてはいけない下記の通りの項目があります。

必ず記載しなくてはいけない項目がある一方、

年齢、性別、国籍、居住地域などの求職者を制限するような表記は禁止されています。

 「2駅圏内家賃補助あり」「リモートワーク可」「出社義務なし」など企業がアピールしたい項目が記載されている場合もあります。

企業の価値観などが求人に反映されている場合もあるので、こうした独自の項目などに注視すると、自分の条件に合う会社が見つかるかもしれません。

◎後悔しないために確認すべき項目

後悔しない転職を行うためには、どのような項目に気をつけたほうがよいのでしょうか。

一般的な確認事項を説明します。

例)給与

まず、「給与」と「給料」の違いから説明します。

 「給与」とは、残業代やその他の手当などがついた総額を指します。

一方で「給料」とは、基本給のみを指しています。

まず、言葉の定義を明確に理解しておきましょう。

 「みなし残業40時間」と記載してある場合、その企業はみなし残業制度をとっており、一定の残業代が基本給に既に入っています。

また一見、基本給が他より高く見えることがあるので、よく確認しましょう。

 次に給与が、どのように支給されているかしっかりと確認しましょう。

 例えば、年収はボーナス込みで記載されていても、入社直後のボーナスは付与されないことが多くあります。ボーナスの付与条件も事前に確認してください。

 その他にも給与は、「固定給制」「歩合給制」「完全歩合給(インセンティブ)制」などに分かれているので、上記項目をしっかりと把握し、自分に合った給与体系を選ぶことが重要です。

例2)勤務時間

勤務時間で注意すべきは、項目に記載されている「残業時間」です。

「残業時間」は、あくまで会社平均であり、募集されている職種・部署の平均残業時間ではない場合があります。当該部署ではどれくらい残業があるのか、業務時間外の細切れの仕事は残業としてみなされるのかは、面接などで確認するとよいでしょう。 

また、「裁量労働制」と記載されている場合、労働時間の制約を受けずに働けますが、残業代などがなく長時間労働になる場合もあります。会社としては契約上、「みなし労働時間込み」で採用している形で、長時間労働を強いることもできるので、しっかりと会社の現状を調べておく必要があります。

例3)休日

年間の休日数は何日あるでしょうか。

週休3日制を導入した会社は、有給休暇を除き年間145日休みがありますが、厚生労働省の令和2年の調査によると、年間休日数の平均は116日でした。 

また、厚労省の調査によると、年次有給休暇の平均付与数は18日間で、有休消化率は56%でした。 求人に記載がある場合、これらの数字と比較してみてください。 また、「完全週休2日制」と「週休2日制」は全く意味が異なります。「完全週休2日制」は毎週2日間休みがあるという意味ですが、「週休2日制」は、週2日間の休みが月に1回以上あるという意味になりますので、注意してください。

例4)保険

社会保険(雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金の4つ)がしっかりと用意されているかを確認してください。

例5)福利厚生

会社によっては、「育休制度」「リフレッシュ休暇」「家族手当」などさまざまな福利厚生を付与しています。このような制度を利用したいと考えている方は、社員の実際の活用事例を面談などで聞いておくことをおすすめします。

例6)評価制度

評価制度は、ご自身の評価・昇給に関わる重要な指標のため、どのような評価制度が設けられているのかを事前に確認しておきましょう。年功序列型、成果主義型など、どのような評価制度かを知ることは、自分に合う会社を見つけるうえで大切な情報です。

まとめ

求人には、さまざまなことが記載されており、当該企業が大事にしていることが把握できます。今回の記事で説明した項目の表記が曖昧であったり、解釈の幅があったりする場合は、入社後にトラブルになる可能性もあるので、面談・面接などでしっかりと確認してみてください。