「介護業界へ転職を成功させる為に知っておきたい豆知識」

現在の介護業界の離職率


現在の介護業界の離職率は、他の業界と比較してもそこまで高い数字ではありません。厚生労働省によると介護業界の離職率は令和2年で14.9%となっており、1年間で5~6人に一人が離職している計算になります。令和2年の全産業の離職率が14.2%なので、それと比較しても特段高い離職率ではありません。

現在の介護業界での主な離職理由 TOP③


1,職場の人間関係
2,結婚・出産・妊娠・育児のため
3,職場の理念や運営のあり方に不満があった
離職理由のトップは職場の人間関係に悩んで離職するケースです。
介護はチームとして仕事にあたる必要があるため、人間関係のトラブルは職場の働きやすさに直結します。逆に言えば、上手に人間関係を構築できれば介護分野は居心地の良い職場にもなるでしょう。

介護職員数の推移


介護職員の数は年々増加傾向にあります。厚生労働省によると、平成12年に54万9,000人だった介護職員数は平成28年には183万3,000人となり、3倍以上に増加しています。
昨今、介護人材の不足が取りざたされている理由は、介護職員と同様に支援の必要な高齢者が増えているからです。
介護職員は増加傾向にありますが、要支援者、要介護者の数も増加しているため、人材不足の傾向は一向に改善されないのです。

・介護職の有効求人倍率の推移


介護業界は現在売り手市場であり、就職や転職がしやすい環境にあります。
厚生労働省によると、令和2年の介護サービス職の有効求人倍率は3.88倍となっています。これは、求職者一人に対して4件近くの求人が出回っていることを意味しています。
有効求人倍率とは、求職者一人あたりに何件の求人があるかを示す指標です。全職業の有効求人倍率が1.06倍であることを考えると、介護職の有効求人倍率が非常に高いことがわかります。
結果的に、介護業界への転職では複数の事業所から就業先を選ぶことができ、より自分の希望に沿った職場へ就職しやすい状況にあるといえるでしょう。

介護職の平均年収


介護職の平均賃金は全職業の平均と比べ低めとなっています。全職業の平均年収が433万円なのに対して、介護職の平均年収は318万円です。
また、介護職の平均賃金は就業先の法人がある地域や介護事業所の形態によっても大きく変わる傾向があります。関東の介護職の平均年収は322万円となっていますが、九州、沖縄の平均年収は261万円となっており、地方と首都圏で収入に大きな格差があるのが実状です。
介護事業所の形態別では、特別養護老人ホームや老人保健施設などの夜勤のある介護施設の賃金が高い傾向にありますが、夜勤のないデイサービスは賃金が低い傾向にあります。転職の際は必ずいくつかの事業所の条件を比較するようにしましょう。

介護職へ転職するメリット


ここでは、介護職へ転職するメリットを4つご紹介します。


需要が高く安定している


介護職は需要が高く安定して働ける職種です。どの事業所も人材が不足しており、介護職の確保に力を入れている傾向にありますので、余程のことがなければ解雇やリストラといった会社都合の退職に追い込まれることはないでしょう。
雇用が安定しているので、計画的に介護職としてのキャリアアップが図れるのも魅力です。最初の事業所に勤務しながら介護福祉士やケアマネジャーなどの資格を取得し、資格と介護経験を活かしてより条件の良い介護事業所への転職を試みる人も少なくありません。
ただし、複数回転職の経歴があると、事業所から長く仕事を続けられない人だと思われてしまう可能性もあります。いくら需要が高く安定しているからといって、むやみに転職を繰り返すことは避けましょう。


未経験でも受かる可能性が高い


介護職は無資格未経験でも就職しやすい業界です。事業所は人手不足のところが多く、介護未経験の人材でも積極的に募集している傾向にあります。
コミュニケーションスキルや向上心がある人は就職しやすいでしょう。さらに、資格の取得まで視野に入れている場合はさらに好印象となります。
同一賃金同一労働の考え方から正規雇用と非正規雇用の格差は減少傾向にありますが、依然として正社員の方が待遇は良いのが現状です。未経験からいきなり正社員として働ける可能性が高いことは、介護職の大きなメリットといえるでしょう。


年齢や性別に関係なく働ける


介護業界では幅広い年齢のスタッフが男女を問わず働いています。その理由は、現場職員から管理職や要職へのキャリアアップの道が開けていたり、家庭の事情に合わせて働き方を柔軟に変えたりすることができるからです。
また、介護現場には女性の職員が多く、主任、リーダー、施設長や役員といった要職においても女性が多く活躍しています。介護業界は他の業界と比較すると女性が活躍しやすい分野であることも大きな特徴です。


残業が少ない傾向


介護職は残業が少ない仕事です。非常勤の介護職の半数程度は残業なし、または残業があったとしても1ヵ月に5時間以内程度の場合が多くなっています。
一方、正社員の介護職員やケアマネジャーは残業時間が多い傾向にありますが、仮に残業が多い場合でも1ヵ月の残業時間が10時間を超えることはあまりないようです。他業界の1ヵ月の残業時間は軒並み10時間を超えているので、介護は比較的残業が少ない業界だといえるでしょう。
介護職が残業を行う理由として挙げられるのは主に以下の3つです。
介護記録の確認や作成
会議や委員会、研修など
利用者のケアや家族対応
介護記録は、出勤時間前に確認し、勤務時間いっぱいまで利用者のケアを行ってから時間外に当日の記録を作成している現場もあります。
また、会議や委員会、研修が休日や勤務時間外での開催となっている場合や、利用者の突発的な体調不良への対応、他の職員の欠勤などにより残業が発生する場合もあります。

介護職へ転職するデメリット


未経験の場合は初任給が低い傾向
介護未経験者の初任給は低い傾向にあります。介護は経験が重視される業界であり、実績による能力の評価が一般的だからです。
給料に反映される実績としては以下の2つが大きな基準となります。
介護職としての経験年数
条件面だけで職場を決めた
事業所によっては役職経験や学歴を考慮するところもありますが、介護職の給料を左右するのは基本的に介護職としての経験と資格の有無です。
未経験で介護業界へ転職するのであれば、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修などの資格を取得しておくと収入面で優位に仕事を始められます。
体力が求められる
介護の仕事は体力勝負です。日中は立ち仕事や中腰での作業が多く、勤務時間中はゆっくり座っていられる時間がない場合もあります。夜勤では普段寝ている時間に働かなければならないストレスがある上、日中よりも少ない人数でケアを行う必要があります。
人によっては身体的、精神的に疲弊したり、腰痛に悩まされたりする場合があります。体力が必要な業務は、特別養護老人ホームや老人保健施設など、介護度が高く手のかかる利用者が多い施設で多い傾向にあります。
介護の仕事で特に体力を必要とするのは以下の3つの業務です。
入浴介助
おむつ交換
離床臥床の介助
入浴介助は限られた時間に多くの利用者の入浴をケアする必要があり、高温多湿の浴室で半日程度動きっぱなしとなる場合があります。またおむつ交換や離床臥床の介助は腰に負担のかかりやすい業務であり、腰痛の原因となります。
介護技術は進歩してきており、正しい方法やコツを掴めれば身体への負担を軽減することは可能です。
土日祝日の勤務も当たり前
介護職は基本的にカレンダー通りには休めません。介護の必要な高齢者を24時間365日ケアする必要があるからです。そのため勤務はシフト制となっており、土日祝日も交代して出勤しなければならなりません。ただし、土日祝日に出勤する代わりに平日に休みとなる場合が多くなります。
施設により差はありますが、介護現場では休みの希望をおおよそ月に2日程度入れることができます。どうしても休みたい日は休みの希望や有給を入れることで対応している職員が多いようです。
しかし、休みの希望が集中しがちな土日祝日や年末年始は休みにくいですにし、世間の連休に合わせた長期の休みは取得しにくい傾向にもあります。どうしても毎週休まなければいけない曜日がある場合は、非常勤の職員として出勤日を固定して働く方法もあります。
介護現場の休日は職員同士の「お互い様」で成り立っている場合が多く、必ずしも自分の希望通りに休めるわけではないことは覚えておくと良いでしょう。
夜勤を逃れられない可能性
利用者の生活を24時間支えるためには、夜間帯も介護サービスを提供する必要があります。夜勤は一般的に16時前後から翌9時前後の16時間、または22時前後から翌7時前後の8時間の勤務となります。夜勤専従の職員がいる場合もありますが、夜勤は正社員の仕事とされている場合が少なくありません。
入所系の介護施設に正社員として就業する場合は、夜勤を行わなければならないことを念頭においておきましょう。どうしても夜勤が嫌な場合は、就業時間に定めのある非正規の社員として契約するか、夜勤のないデイサービス、日中のみサービスを提供している訪問介護などの事業所を探してみましょう。

介護職への転職成功例


20代女性の例
高校を卒業後、飲食店で働いていましたが、サービス残業が多く、いくら働いても給与に反映されないことに不満を感じ、入社3年で転職を決意。同時期に高校時代の友人から介護職は高卒で働いている人も多くいるという話を聞き、人を笑顔にすることが好きであることから介護職の道を進むことを決めます。
ただ、前職を辞めてしまった後に転職活動をするとなるとリスクが高いため、仕事をしながら転職活動をスタートさせました。
ネットで介護関連の転職サイトに登録し、自分の希望する条件を担当者に伝え、当てはまる案件をいくつかピックアップしてもらいました。体力には自信があるので多少大変でも給料が高い施設、自転車で通いたいので自宅から5キロ圏内、遠くても10キロ圏内の職場に応募したい意思を伝えたところ、自宅の近くにいくつか該当する介護施設があり、3件ほどの介護施設を紹介されました。
その中でも最も自宅に近く、給料の高かった特別養護老人ホームに応募。指定された日時に履歴書を持参して面接を受けたところ、2週間後に採用の通知が届きました。
無資格未経験でのスタートだったため最初は戸惑うことも多かったですが、飲食業で培った接客の経験を活かして利用者からの信頼を獲得し、真面目に仕事に取り組むことで徐々に先輩職員からも認められるようになっていきました。
介護職のやりがいを実感しながら働けており、今はスキルと収入のアップを目指して介護福祉士の資格取得に挑戦中です。

介護職への転職失敗例


40代女性の例
結婚後、家事と育児の傍らパートとして近所のスーパーで働いていましたが、子供が手を離れてきたためフルタイムで働きたいと思い、かねてより興味のあった介護職の正社員を目指すことに決めました。
転職サイトに登録し、近所の有料老人ホームを見つけて応募。施設は比較的新しく、福利厚生もしっかりしていました。40代で介護未経験からの転職のため、施設の担当者からは体力面での負担や不規則な勤務時間についてこられるかどうか心配されましたが、持ち前の明るい人柄が評価され正社員での入社が決まりました。
入社当初は覚えることが多く、必死にメモを取ってミスをしないように気をつけました。そのうち丁寧で堅実な仕事ぶりが評価され、3ヵ月後には晴れて独り立ちとなります。
順風満帆に見えた介護の仕事ですが、夜勤に入るとなかなか疲れが抜けず、生活リズムも不規則になり、徐々に不眠に悩まされるようになりました。できれば夜勤に入りたくないことを上司に伝えるも、夜勤なしでは正社員として働くのは難しいと言われてしまいます。
結局正社員として働くのを諦め、週5日勤務で夜勤なしのパートに雇用形態を変えざるを得なくなりました。正社員の時よりも給料は大幅に下がり、ボーナスも寸志程度の少額しか支給されなくなってしまいました。

・転職で失敗しやすい人の特徴は


介護職への転職で失敗しやすい人の特徴は以下の通りです。
逆に言うと、このようなことをしないように気をつければ成功しやすいでしょう。
給与面だけで介護職への転職を決めた人
家から近いという理由だけ介護職に転職した人
楽できるかもしれないという思いから介護職に転職した人
他社と比較せずに明確な理由なく転職した人
介護職の仕事内容を把握しないまま転職した人
介護職への転職を成功させるためには、介護職に就きたいという思いをきちんと持ち、転職する理由を明確にしておくことが大切です。
また、転職後に仕事内容がイメージと違ったなどの理由で辞める方も少なくありません。仕事内容についても事前にリサーチして、本当にやりたいと思える仕事なのか、改めて検討してみましょう。

さいごに/転職で失敗しないポイント


厚生労働省から「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」が発表されました。これは、団塊の世代と言われる1947~49年生まれの世代が、75歳という後期高齢者になる「2025年」にフォーカスしたデータです。
これによると、2025年には介護人材が253万人必要であるにもかかわらず、現状推移シナリオによる介護人材の供給見込みは215.2万人。つまり38万人もの人材が不足すると指摘されています。

介護職/ヘルパーのキャリアを持つ人にとっては、今後も求人は多く、売り手市場が続くと思われます。高齢化がすすむにつれて新たに開所する施設も増えており、オープニングスタッフの募集が目立ちます。なかには「スタッフが揃い次第、開所予定」という施設も。
こういった求人からも介護職/ヘルパーのニーズの高さがうかがえます。

さいごに介護職への転職で失敗しないために必要となるのは、
ご自身にとっての最適な条件の施設を見つけることです。
まずは数ある求人をしっかり吟味して、複数の応募先をピックアップして比較検討する事につきます。
転職の際は、施設によって福利厚生や給与の水準は大きく変わってきます。
長く働くのであれば退職金の共済がある施設が理想的ですし、年間休日数や特別休暇の有無も重要です。また、求人の給与総額が同じでも事業所によって基本給や資格手当、夜勤手当の金額が異なる場合も多くあります。
弊社では、そんな最新の求人情報をもとに転職の成功をしっかりとサポートさせていただきます。