「自分のキャリアは自分で決める」
ADHDとは?
Attention-Deficit Hyperactivity Disorderの略称で、日本語では「注意欠如・多動症」と訳される、発達障害の一つです。
下記のような行動や特性がみられることがあります。
不注意:集中できない・物をなくしやすい
多動性:落ち着きがない・待つことが苦手
衝動性:思いついたままに行動してしまう・結果を考えずに行動してしまう
仕事に活かせるADHDの特性の強み
ADHDの行動や特性は、障害となるだけでなく「強み」になることがあります。
これらはあくまで傾向のため、必ずしもADHDのある方全員が当てはまる訳ではありません。
✴︎好奇心が強い
ADHDのある方の中には、次々と周囲のものに関心を持ち、周囲のペースよりもエネルギッシュに取り組む方も多いので、仕事においても、さまざまな業務に対して好奇心を抱きやすいため、新たな仕事に臆せずチャレンジしていけることは大きな強みになります。
✴︎行動力がある
ADHDのある方の中には、あれこれ考えるよりもまず行動できるという特性を活かし、困っている人がいれば誰よりも早く手助けをする方もいます。職種に焦点を絞った場合、積極的に行動できたり、あれこれ考えすぎず自分の意見を臆せず伝えられたりすることは、営業職に活かせる場合もあります。
ADHDの行動や特性からくる働く上での困りごと例
→スケジュール管理が苦手で整理整頓が難しい
→思ったまま行動、発言してしまう。相手の話を聞くよりも、自分の話したいことばかり一方的に話してしまう
→感情のコントロールができず、他人と衝突してしまったり、ついつい衝動買いしてしまう
ADHDの特性を「苦手」から「強み」へ
苦手:マルチタスク(同時に複数の仕事を抱えている状態)が苦手
↓
強み:一つの仕事を始めると、集中して取り組める
苦手:思ったことをそのまま伝えてしまう
↓
強み:新しい事業に積極的にチャレンジしている会社や会議などで改善案が欲しい場合においては、率直な意見は歓迎されたり、「他人の顔色を伺わず、はっきりと意見を言える正直な人」というプラスの評価につながったりすることもある
困りごとを強みに変えられる人もいますが、「強み」として発揮できるどうかは、ご自身の特性だけではなく、ご自身を取り巻く職場環境によっても影響されます。
様々な働き方
ADHDのある方が自分らしく働けるよう、まずはご自身の特性をきちんと把握し、ご自身に合った対処法と職場環境を見つけることが大切です。
ADHDのある方が自分らしく働けるよう、どのような働き方(雇用形態や環境など)があるかについて、紹介します。
★一般雇用
文字通り企業の応募条件さえ満たせば、障害の有無に関係なく誰でも応募できる求人です。
メリット:選べる職種や求人数が多い
デメリット:障害のある方の採用を前提としたものではないため、障害に対する理解や配慮を十分に受けられない可能性がある
一般求人に応募する場合、障害があることを開示することもできますが、非開示で働く場合(クローズ就労)には、得意や苦手、どういう仕事の進め方がやりやすいか、やりにくいかというニュアンスで伝えてみるのも1つの方法です。
★障害者雇用
障害のある方が一人ひとりの特性に合わせた働き方ができるように、企業や自治体などが障害のある方を雇用する制度のことです。
「障害者雇用促進法」では、決まった割合で障害のある方を雇用すること(法定雇用率)や障害による差別の禁止、雇用主による合理的配慮の提供義務などが定められています。
一般雇用との違いは、障害者手帳を持っている方のみ応募できるという点です。
メリット:もともと障害のある方の雇用を想定されているため、障害に対する理解や配慮が得られやすい
デメリット:障害者手帳がないと応募できない・一般雇用に比べて求人数が少ない
★特例子会社への就職
特例子会社とは、障害のある方の雇用促進及び安定を図るために設立され、 厚生労働大臣の認可を受けた会社のことです。
特例子会社に在籍している障害のある社員数は親会社やその他のグループ会社に雇用されているものとみなし、障害のある方の雇用率を算定することができる仕組みとなっています。
メリット:
一般企業の障害者雇用と比べて、障害のある方に合わせた人事制度や環境設備が整っていることが多い障害のある方が多く働いているため、お互いが苦手を補完し合うという風土が醸成されている職場が多い
デメリット:
仕事内容が限定的であることも多く、職域を広げにくかったり昇給が難しかったりする場合がある
★就労継続支援事業所への福祉的就労
就労継続支援とは、「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスの一つです。企業などで働くことが困難な場合に、障害や体調にあわせて自分のペースで働く準備をしたり、就労訓練や仕事をおこなったりすることができます。
就労継続支援には雇用契約を結び利用する「A型」と、雇用契約を結ばないで利用する「B型」の2種類があります。
就労継続支援A型
就労継続支援A型とは、一般企業への就職が困難であり、雇用契約を結んだ上で仕事をすることができる障害のある方を対象に、一定の支援がある職場で働いたり生産活動をおこなったりすることが可能な福祉サービスです。
一般企業で働くよりも手厚いサポートを受けやすいのが特徴ですが、1日の勤務時間が比較的短いことが多い傾向もあります。
(仕事内容の一例)
パソコンによるデータ入力
カフェなどのホールスタッフ
ビルなどの清掃 など
就労継続支援B型
就労継続支援B型とは、一般企業への就職が困難、あるいは雇用契約に基づく就労が困難な場合に、雇用契約を結ばずに軽作業などの就労や生産活動をおこなうことが可能な福祉サービスです。
就労継続支援A型と違い、雇用契約を結んでいないため、働いた時間や日数による「給料」ではなく、作ったものや作業に対する成果報酬として「工賃」が支払われます。そのため、自分の障害や症状にあわせて、無理をしない範囲で比較的簡単な軽作業を少しずつ自分のペースでこなしていくことができます。
(仕事内容の一例)
パンやお菓子などの製造
製品の梱包作業
農作業 など
さいごに
ADHDのある方が適職を見つけるためのポイントとは
ADHDの特性からくる職場での困りごとはご自身だけではなく、職場環境によって起きています。そのため、まずは対処できることを見つけること、またその上で配慮を得ることも大切です。「自分に合った仕事を探したい」「適職を見つけたい」という方には、「もっと打ち込める仕事はないか」「自分が楽しいと思える仕事は何か」と探している方もいれば、「今の仕事がうまくいかない」という理由から仕事を変えることを検討されている方もいると思います。
転職を考える前に、まずは今の職場や仕事で、自分でできる対処法を試してみたり、配慮の相談を職場の方にしてみたりするなど、できることからはじめてもいいかもしれません。それでも難しい場合は、本記事で紹介したような就労支援を活用してみることも、選択肢のうちの一つです。
今の職場で働くことの難しさや、自分に向いている仕事を考えたいときは、
ぜひ我々へご相談下さい。一緒に「自分らしく」働ける環境を見つけていきましょう。